発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010211414
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64歳男。患者は全身倦怠感、反応鈍を主訴とした。喫煙歴は30本/日×42年であった。1978年からアルコール依存症があり、1982年に胆石で胆嚢摘出術を受けた。2003年に糖尿病を指摘された。2005年に肝細胞癌で肝臓を部分切除したが、2008年に再発した。再発治療の退院3日後に禁煙外来を受診し、翌日からニコチンパッチを装着したが、外来受診から7日後に低ナトリウム血症のため緊急入院となり、生理的食塩水とナトリウムの点滴で改善した。この治療後、問診では装着開始3日目頃から発汗量が増加したこと、普段運動により約2lの真水を飲んでいたが、持続する口渇感によりその量が更に増加したこと、ニコチンパッチは就寝中も貼った状態にしており、同薬を緊急入院となるまで使用していたことが判明した。尚、来院時に脱水の徴候はなく、細胞外液量正常の低ナトリウム血症と考えられたが、病態は様々な因子が重なっていたものと推測された。
©Nankodo Co., Ltd., 2010