発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005275581
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
50歳男.初診の5ヵ月前,野球の応援のさいメガホンで手掌を叩いていた.試合後,左手掌に痛みを感じたが,その後は疼痛なく経過していた.2ヵ月ほど前に疼痛が再燃し,同部に腫瘤が出現したため受診した.腫瘤は直径約8mmの淡暗紫色調で,腫瘤の近位側に静脈の怒張を認めた.腫瘤に一致した連続性雑音が聴取され,拍動を触れた.MRI検査で環・小指屈筋腱間の皮下にT1強調像,T2強調像とも等輝度を示す3mm大の腫瘤を認めた.MR血管造影では,早期に造影され後期に造影剤が貯留する腫瘤として認められた.これらの所見から外傷性動静脈瘻と診断した.メガホンを患部に繰り返し叩打したことで手掌の動静脈が同時に損傷し,血腫によって一時的に止血していたが,血腫の治癒過程で徐々に動静脈が開通し動静脈瘻が形成されたものと考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2005