発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2007100264
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小細胞肺癌(SCLC)32例のうち、臨床病期II期およびIII期の18例について集学的治療成績を検討した。SCLCに対する治療方針はCI期およびCII期8例に対しては手術先行で術後に化学療法を行うこととし、CIII期10例に対しては術前化学療法の後、ダウンステージが良好な場合に手術を行った。全身化学療法は18例中16例(88.9%)に施行され、このうち術前化学療法は7例行われた。その結果、化学療法によって著効(CR)が3例、有効(PR)が4例となり、リンパ節転移の縮小によって全例C0~I期にダウンステージした。CII期、CIII期SCLCの予後は5年生存率がそれぞれ62.5%、46.7%であった。cN因子別の予後は5年生存率がcN0-1(9例)が66.7%、cN2-3(9例)は58ヵ月時点の生存率でみると40.0%を示した。cT因子別の5年生存率はcT1(6例)が50.0%、cT2(8例)45.0%、cT3(4例)が75%であった。術前化学療法群の予後はダウンステージが得られ、5年生存率は68.6%であった。正診率はC病期とP病期は63.6%であった。過小評価は11例中CII期3例、CIII期1例の計4例(36.4%)であった。過大評価は11例中3例(27.3%)に認められた。CII期およびCIII期のSCLC患者の外科的治療の有用性が少数例ながらあると判断できる症例があった。
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