呼吸器感染症2010 新たな脅威と必要な新知識
新型インフルエンザ
工藤 宏一郎
1
1国立国際医療センター国際疾病センター
キーワード:
インフルエンザ-ヒト
,
インフルエンザワクチン
,
インフルエンザ-トリ
,
重症度指標
,
インフルエンザウイルスA型H5N1亜型
Keyword:
Influenza in Birds
,
Influenza, Human
,
Influenza Vaccines
,
Severity of Illness Index
,
Influenza A Virus, H5N1 Subtype
pp.793-798
発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010021264
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2009年4月、WHOはメキシコ発の豚由来新型インフルエンザ(S-OIV,A/H1N1)の発生を宣言した。H1N1で抗原ドリフト型であったが、遺伝子の構成からはほとんどの人にとっては新型であったため、とくに小児、若人、成人(65歳以下)に感染が広まっている。幸い毒性は強くない。臨床的には大多数にとって、軽症、通常のインフルエンザ並みであるが、基礎疾患を有する者、妊婦、小児、幼児、肥満に重症化することがある。健常者でも重症化する例もある。重症化とは、重症ウイルス肺炎、脳症、基礎疾患の悪化で、ウイルス性肺炎は急激に進行し、呼吸不全となる。病理像はDAD(びまん性肺胞障害)と細気管支炎である。重症肺炎の臨床像、病理像は鳥インフルエンザ(H5N1)と類似している。基礎疾患に対する日常の十分な治療、重症化の早期診断のもと、早期治療(抗ウイルス薬の投与)などで重症化を防ぐ。治療薬は抗ウイルス薬が主であるが、他の病態に応じて十分な治療が必要である。
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