造血幹細胞移植の多様性に迫る 質の高い治癒を目指したアプローチ
造血幹細胞移植における薬物療法 移植後ウイルス感染症の予防と治療
中田 潤
1
,
池亀 和博
1兵庫医科大学附属病院 血液内科
キーワード:
ヒトヘルペスウイルス6型
,
Ribavirin
,
Vidarabine
,
ヒトアデノウイルス感染症
,
ウイルス性疾患
,
肝炎-ウイルス性-ヒト
,
サイトメガロウイルス感染症
,
術後管理
,
ロゼオロウイルス感染症
,
造血幹細胞移植
,
Cidofovir
,
術後感染症
,
ポリオーマウイルス感染症
Keyword:
Adenovirus Infections, Human
,
Cytomegalovirus Infections
,
Hepatitis, Viral, Human
,
Postoperative Care
,
Ribavirin
,
Vidarabine
,
Virus Diseases
,
Herpesvirus 6, Human
,
Hematopoietic Stem Cell Transplantation
,
Roseolovirus Infections
,
Polyomavirus Infections
,
Cidofovir
pp.256-261
発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009299252
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造血幹細胞移植後に問題となるウイルス感染症は、多岐にわたる。サイトメガロウイルス(CMV)感染症はpre-emptive therapyにより一定の予防効果が認められたが、難治例もあり、特異的T細胞の測定や投与などの新しい試みがはじまっている。HHV-6ウイルスは移植後の多くの合併症に関与していることが指摘されつつあるが、いまだに詳細な機序は明らかではなく、治療法も確立していない。とくに脳炎は、致死的合併症として問題視されている。造血幹細胞移植後の出血性膀胱炎では、アデノウイルスやBKウイルスなどが原因ウイルスとなりうる。アデノウイルスは全身に播種し致死的な経過をたどりうる。BKウイルスは1~2ヵ月内に治癒することが多いがQOLを損なう傾向にある。これらに対しribavirin、vidarabine、cidofovirなどの新たな抗ウイルス薬が試されている。
©Nankodo Co., Ltd., 2009