発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009247966
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
55歳男。胸痛を主訴とした。高血圧症、脂質異常症、糖尿病の既往があった。心電図ではV1~V3でST上昇とR波の減高、III・aVFで陰性T波を認め、胸部X線で心胸郭比は54%と拡大していた。経胸壁心エコーでは心腔の拡大はなく、駆出率は50%で、弁膜に異常は認めなかったが、心室中隔基部に限局的に無収縮領域を認め、やや高輝度で壁厚は5mmと菲薄化していた。中隔枝の単独閉塞による心筋梗塞と考え、冠動脈造影を行ったところ、左前下行枝から分岐する中隔枝が起始部で完全閉塞していた。右冠動脈中部には75%狭窄を認めた。中隔枝に対する経皮的冠動脈形成術を施行し、ワイヤーは閉塞部より末梢側へ若干進んだが、造影で十分な血流再開は得られず、中隔枝の灌流領域は小さいと予想されたため、これ以上のカテーテル治療は断念した。その後胸痛が再燃し、右冠動脈の閉塞部に対する経皮的冠動脈形成術を施行した。この際の左冠動脈造影では中隔枝の血流再開を認めた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009