発行日 2008年11月1日
Published Date 2008/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2009052492
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58歳女性。患者は口渇・多尿を放置し摂食困難となり、清涼飲料水を飲んでいた。今回、顔面・四肢の痙攣が出現したため近医を受診、高度脱水を指摘され、その後、歩行不能となり、全身性痙攣および意識障害を認め、著者らの施設へ救急搬送された。意識レベルはJCS 200-300で、WBC、CRP、血糖値の異常高値、肝機能・腎機能の障害がみられ、動脈血ガス分析では混合性アシドーシスが認められた。また、頭部CTおよび胸部X線では異常がみられず、腰椎穿刺では髄液圧は低いが、脳炎は否定的であった。以上、これらの所見より、本症例は糖尿病性昏睡と診断され、生食の大量輸液、インスリン持続静注が開始されたが、血圧低下と発熱、DICを認め、抗生物質と昇圧薬の投与が行なわれた。その結果、第3病日目に会話は可能となったものの多尿が出現し、輸液量を調節し、第10病日目に経口食を開始した。精査で糖尿病は2型と診断され、食事療法で血糖値は改善され、第80病日目よりインスリンを中止した。以後、多尿の遷延で徐々に輸液量を減らし、飲水指導を行いつつ、患者は第129病日目に退院となった。
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