膵癌診療最前線 新たな抗癌薬により長期生存を目指す
膵癌の疫学 膵癌の治療法・Stage別の予後と最近の進歩
岸和田 昌之
1
,
小林 基之
,
伊佐地 秀司
1三重大学 大学院肝胆膵・移植外科学
キーワード:
Fluorouracil
,
腫瘍進行度
,
膵切除
,
膵臓腫瘍
,
生存率
,
治療成績
,
ランダム化比較試験
,
ネオアジュバント療法
,
Gemcitabine
,
放射線化学療法
Keyword:
Fluorouracil
,
Pancreatectomy
,
Neoplasm Staging
,
Pancreatic Neoplasms
,
Survival Rate
,
Randomized Controlled Trials as Topic
,
Treatment Outcome
,
Neoadjuvant Therapy
,
Chemoradiotherapy
,
Gemcitabine
pp.648-653
発行日 2008年10月1日
Published Date 2008/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008338447
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膵癌の最新の治療成績につき、日本膵臓学会による全国膵癌登録(2001~2004年)の解析結果や、標準手術と拡大手術に関する無作為比較試験(RCT)の成績、切除後補助療法や術前補助療法に関する最新の文献報告および自験例の成績を検討した。膵癌登録からStage別予後を本邦規約とUICC規約でみると、Stageの進行とともに予後はきわめて不良となるが、早期膵癌に相当する症例が全体の5%前後にすぎないことを銘記すべきである。拡大手術と標準手術に関するRCTの成績からは、拡大手術による予後の改善効果はなく、外科的に確実な局所制御を行うこと(R0手術)の重要性が指摘された。現在のところ膵癌化学療法の第一選択はgemcitabine(GEM)であり、切除後の補助化学療法においても優れた効果が示されている。術前補助療法としてGEM併用化学放射線療法が注目されており、当科での最近3年間の成績からも、予後向上への貢献が期待される。
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