悪性リンパ腫診療update in 2008 最新のエビデンスに基づく診断と治療
悪性リンパ腫を捉える 正確な診断に必要な方法論 染色体検査・遺伝子検査
鈴木 律朗
1
1名古屋大学 造血細胞移植情報管理学
キーワード:
Immunoglobulins
,
PCR法
,
T細胞抗原受容体
,
染色体分染法
,
リンパ腫
,
サザンブロッティング
,
Fluorescence in Situ Hybridization
,
細胞遺伝学的分析
,
遺伝学的検査
Keyword:
Chromosome Banding
,
Genetic Testing
,
Immunoglobulins
,
Lymphoma
,
Receptors, Antigen, T-Cell
,
Blotting, Southern
,
Polymerase Chain Reaction
,
In Situ Hybridization, Fluorescence
,
Cytogenetic Analysis
pp.247-255
発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008287675
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染色体検査・遺伝子検査は、悪性リンパ腫の診断や診療において今日では欠くことのできない検査である。診断の中心が病理組織学的検査であるのはいうまでもないが、形態像では得られない情報を染色体検査・遺伝子検査はもっており、表面マーカー検査と同様、質の高い臨床には必要な検査となってきた。病型診断は病理医に任せるものではなく、問題がある場合はこれらの検査を踏まえて病理医と十分ディスカッションする必要がある。白血病の診断と異なる点は、染色体・遺伝子異常が疾患分類とは1対1で対応しない点で、このため新WHO分類でも、白血病のように染色体・遺伝子異常を加味した分類にはなっていない。その意義も異常の種類によって異なり、t(11;14)転座かサイクリンD1の過剰発現があれば、骨髄腫でない限り診断は形態を問わずにマントル細胞リンパ腫になるが、t(14;18)やt(8;14)ではそうはならない。それぞれの染色体・遺伝子異常の特徴を知って、日常臨床に役立てる必要がある。
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