慢性腎臓病 CKDキャンペーンをめぐる話題
CKDの治療法を個別的に考える CKDと動脈硬化、スタチンについて
渡辺 毅
1
1福島県立医科大学 腎・高血圧、糖尿病・内分泌・代謝内科(第三内科)
キーワード:
脂質異常症
,
腎臓疾患
,
タンパク尿
,
動脈硬化症
,
慢性疾患
,
HMG-CoA Reductase Inhibitors
Keyword:
Arteriosclerosis
,
Chronic Disease
,
Kidney Diseases
,
Proteinuria
,
Hydroxymethylglutaryl-CoA Reductase Inhibitors
,
Dyslipidemias
pp.99-103
発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007246395
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慢性腎臓病(CKD)患者の動脈硬化の病理学的特徴は、中膜硬化(Wenkebach型)と動脈壁石灰化であるが、近年、生活習慣病による粥状硬化が増加している。CKD患者の死因の半数を占める心血管イベントの基盤となる動脈硬化の病因は、(1)古典的危険因子、(2)CKD関連因子、(3)透析関連因子、の組み合わせによる。CKD患者の血清脂質代謝異常は、酸化ストレス、全身的炎症、インスリン抵抗性によるリポ蛋白リパーゼ(LPL)、肝性トリグリセリドリパーゼ(H-TGL)活性抑制の結果としてのトリグリセリド(TG)高値、HDLコレステロール(HDL-C)低値、small dense LDL、レムナント、Lp(a)増加が特徴的である。治療の基本は、古典的危険因子の管理、蛋白尿抑制、腎機能改善と慢性腎不全の病態改善である。スタチンは、LDL-コレステロール(LDL-C)低下、CKDに特徴的な血清脂質代謝異常の改善と、蛋白尿減少・腎機能低下抑制の腎保護作用を示す第一選択薬である。
©Nankodo Co., Ltd., 2007