発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007195269
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53歳女。12年前に本態性血小板血症、2年前に骨髄線維症と診断された。4ヵ月前、呼吸困難が出現し当科受診した。CT検査により肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症と診断、抗凝固療法と血栓溶解療法を行うとともに永久型の下大静脈フィルター(IVCF)を留置した。今回、フォローアップ目的に胸部CTを施行したところIVCFの中枢側に新たな血栓が認められた。ただちにheparin点滴静注を開始するとともに、IVCFの中枢側に2個目のIVCF(回収可能一時型)を留置した。さらに、大腿静脈からカテーテルを挿入しurokinaseによる血栓溶解療法を行った。治療効果判定のためにCTを施行したところ血栓は縮小していた。2回目の血栓溶解療法施行中に肺出血を生じたため、heparin点滴静注と血栓溶解療法は中止し、肺出血改善後、warfarin内服とした。その後のフォローアップCTで血栓は消失していた。本例は本態性血小板血症から移行した骨髄線維症であり、易血栓性であったと思われた。また、骨髄線維症では血小板機能が異常をきたし出血を起こしやすいともいわれており、本例のような血小板増加型の骨髄線維症は血栓・出血のリスクコントロールが非常に困難と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007