発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2006131525
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33歳男.乾性咳嗽で受診し,胸部異常影を指摘された.生化学検査で軽度肝機能異常,血液ガス分析で低酸素血症,凝固検査でAT-III低下がみられた.胸部X線で左下肺野に空洞影,胸部CTで下肺静脈レベルでは左S9領域に壁肥厚を伴う空洞影,上肺静脈レベルの造影CTで左下肺動脈血栓像を,肺血流シンチでは左下葉に欠損像がみられた.入院後,喀痰,胃液抗酸菌陰性で,気管支鏡検査を実施,可視範囲では異常はなかったが,生検した組織病理所見では気管支粘膜下の間質にリンパ球浸潤を認め,ランゲルハンス巨細胞がみられた.マイコバクテリウム・アビウム(Ma)PCR陽性で,胃液及び喀痰は抗酸菌,塗抹陰性であったが,抗酸菌培養陽性と判明し,AT-III欠損症とMa症合併と診断した.左下葉に血行障害があり,Maに化学療法が困難なため,外科療法を念頭におき,ワルファリンによる抗凝固療法で一時退院になったが再入院となった
©Nankodo Co., Ltd., 2006