発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2006040998
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34歳男(白人).22歳時に強直性脊椎炎と診断され,非ステロイド系消炎鎮痛薬を内服中であった.約1ヵ月前に発熱,咽頭症状が出現し,抗生物質,抗真菌薬を投与されたが改善しなかった.入院時,眼球結膜充血があり,軟口蓋・頬粘膜には潰瘍が多発していた.また,C反応性タンパク(CRP)は上昇していた.リウマトイド因子は陰性であった.抗生物質変更により症状,CRPとも改善傾向にあったが,突然,血便が出現した.下部内視鏡検査では,大腸粘膜全体に口腔内潰瘍に類似したアフタ様潰瘍を伴う出血性腸炎を認めた.大腸病変部の生検では,粘膜固有層内の高度な炎症細胞浸潤と粘膜下組織の線維化を認めたが,潰瘍性大腸炎やCrohn病を示す特異的炎症像や血管炎の所見はみられなかった.プレドニゾロン(PSL)の開始により血便は消失し,炎症反応も改善した.PSLの漸減・中止後も出血性腸炎の再発はみられない.本症例は,何らかの感染を契機にBehcet病類似の粘膜病変が顕在化した可能性が高いと考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2005