特集 こんなにある薬剤性消化管傷害
小腸および大腸 免疫チェックポイント阻害薬による大腸病変
櫻井 俊治
1
,
樫田 博史
,
永井 知行
,
米田 頼晃
,
川上 尚人
,
中川 和彦
,
工藤 正俊
1近畿大学 医学部消化器内科
キーワード:
Prednisolone
,
大腸内視鏡法
,
大腸炎
,
大腸炎-潰瘍性
,
肺腫瘍
,
病勢悪化
,
Infliximab
,
免疫学的抗腫瘍剤
Keyword:
Lung Neoplasms
,
Antineoplastic Agents, Immunological
,
Infliximab
,
Colitis
,
Colitis, Ulcerative
,
Colonoscopy
,
Disease Progression
,
Prednisolone
pp.928-933
発行日 2019年6月25日
Published Date 2019/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2019312037
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免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による癌免疫療法は、化学療法、放射線療法、外科的治療と並ぶ癌治療の柱として期待されている。ICIはその治療効果が長期間持続することが特徴とされている。一方で、ICIによる自己免疫疾患様の副作用は免疫関連副作用(irAE)と呼ばれ、ICIの中止後も副作用が長期間持続する可能性があり注意が必要である。irAE大腸炎の臨床像は潰瘍性大腸炎に類似し、診断および治療は潰瘍性大腸炎に準じて行われている。irAE大腸炎には外科的加療が必要になる重症例もあるので、内視鏡による早期診断と適切な治療介入が重要である。irAE大腸炎の制御が可能になったあとに、ICIの再投与が可能な症例は存在するが、腸炎の再燃リスクを考慮して慎重に判断する必要がある。irAEの発症とICIの治療効果の相関性やICI後の化学療法が奏効する可能性が指摘されており、癌治療戦略上留意すべき点である。ICIの治療効果やirAEのリスクを予測する研究により、癌免疫療法の適正化が進むことが期待される。
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