発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2006040995
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
77歳男.日中の傾眠を主訴とし,心電図で1度房室ブロックと洞性徐脈を認めた.夜間には無呼吸発作が1夜に70~210回ほどみられ,最大呼吸停止は85秒に及んだ.呼吸心電図モニターでは,無呼吸に伴って2~3度房室ブロックを認めた.無呼吸が長く続いた時には最大11.4秒の心室停止を示した.His束心電図では,日中安静時には高頻度心房刺激でA-HにWenckebachブロック(Wブロック)が出現し,夜間睡眠中の中等度無呼吸発作時にはA-HでのWブロックや2:1ブロックを認めた.経鼻的持続陽圧呼吸療法により睡眠時の無呼吸は消失したが,夜間睡眠中の高度房室ブロックは完全に改善せず,ペースメーカーの体内植込み術を追加した.その結果,睡眠中の無呼吸や不整脈はみられなくなり,日中の傾眠も消失した.本症例では日中覚醒時にも伝導障害があり,夜間の無呼吸発作時にはそれに伴う迷走神経興奮が洞結節,房室結節,接合部に作用し,器質的病変が種々の徐脈性不整脈を起こしたと考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2005