発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2004064622
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76歳女.血便を主訴とした.腰痛のためdiclofenac坐薬を5日連日使用し,その後,疼痛時に応じて使用していたところ,大量の血便が出現した.上部消化管内視鏡検査より,胃体中部前壁にS1 stageの潰瘍瘢痕を認める以外,異常所見は認めなかった.大腸内視鏡検査所見より,歯状線近傍直腸前壁に露出血管を伴う浅い不整形潰瘍と,その口側に浅い白苔を伴う類円形の潰瘍を認めた.以上より急性出血性直腸潰瘍(AHRU)と診断し,露出血管に対してクリッピング及び高張Naエピネフリン局注を施行し止血した.生検病理組織像では,非特異性腸炎の所見であった.その後に施行した内視鏡検査では,潰瘍の縮小がみられ,クリップの残存を認めるのみであった.また,その近傍の潰瘍も,S2相当の瘢痕化を認めた.経過は良好で,NSAID坐薬の使用を可能な限り控え,シクロオキシゲナーゼ(COX)2選択性の高いNSAIDを頓服で使用するようにして経過観察を行なった.現在,再発兆候はない
©Nankodo Co., Ltd., 2003