発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2003200433
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35歳女.1999年に動悸,手指振戦が出現してバセドウ病と診断されてpropylthiouracil(PTU)服用が開始された.2001年(PTU 150mg/日服用中),微熱,全身倦怠感が出現した.呼吸器症状はなく,検尿では蛋白・潜血ともに陰性であったが,myeloperoxidase抗好中球細胞質抗体(MP0-ANCA)が陽性であった為,ANCA関連血管炎が考えられた.PR3-ANCAは陰性であった.PTUを100mg/日に減量して経過観察したが,関節痛も出現し,MP0-ANCAも増加していた.PTUを中止してthiamazole 10mg/日に変更したところ,ステロイド薬や免疫抑制薬を変更することなく症状は消失した.それに伴ってMP0-ANCAは減少し,2002年には陰性化した.抗甲状腺薬によるMP0-ANCA関連血管炎は腎・肺障害発症前に発見し,薬剤を中止すれば予後を飛躍的に改善できる病態である.抗甲状腺薬での加療に際しては,注意深い観察とMP0-ANCAの測定が必要と考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2003