発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2003200432
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55歳男.複視を主訴とした.上方視で増強する複視と眼瞼下垂が出現した.MRIで左眼の外眼筋肥厚が認められたが眼痛はなく,その他検査所見にも異常を認めず,眼窩筋炎と診断して副腎皮質ホルモン療法を施行した.その後のMRIで左下直筋肥厚が確認されたが,他の外眼筋に肥厚は認められなかった.治療開始3週後から眼瞼下垂と上方視制限は改善を示した.左眼の上転障害は左側上方視で顕著であり,左上直筋の機能不全を示唆している.上直筋の肥厚はなく,左眼上転制限は左下直筋の伸展制限によって生じたと考えられた.上直筋・上眼瞼挙筋塊の腫大が明らかでないにも拘わらず眼瞼下垂を呈したのは,下直筋の炎症が上眼瞼挙筋へ波及するとは考え難い為,両者の障害は別個に生じたと考えられた
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