臨床室
僧帽筋上部線維のみが麻痺を免れた医原性副神経損傷の1例
小泉 雅裕
1
,
土谷 正彦
,
大塚 寛
,
荒井 勝光
,
保坂 登
1新潟県立中央病院 整形外科
キーワード:
医原病
,
術後合併症
,
麻痺
,
リンパ節郭清
,
骨格筋線維
,
僧帽筋
,
副神経損傷
,
神経縫合術
Keyword:
Iatrogenic Disease
,
Lymph Node Excision
,
Paralysis
,
Postoperative Complications
,
Muscle Fibers, Skeletal
,
Accessory Nerve Injuries
,
Superficial Back Muscles
pp.233-236
発行日 2017年3月1日
Published Date 2017/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2017145987
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25歳男。左肩の挙上困難、左肩周囲の筋萎縮を主訴とした。左頸部リンパ節切除後に左肩甲部のしびれ・痛みと主訴を認め、約5ヵ月後に左腕神経叢損傷の診断で紹介受診した。受診時には左肩甲骨の外側偏位がみられ、左僧帽筋上部線維に筋収縮を認めたが、中部線維、下部線維は麻痺しており、左頸部リンパ節切除に伴う副神経損傷による左僧帽筋麻痺と診断した。本例では副神経の僧帽筋上部線維への枝が一般的な位置よりも中枢から分岐していたと考えられ、その後2ヵ月経過を観察したが、筋萎縮が進行したため、受傷後7ヵ月に手術を行い、断裂していた副神経を縫合した。術後1年10ヵ月時点で左肩甲骨の外側偏位は改善し、僧帽筋中部・下部線維の回復を認めた。
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