臨床室
頭蓋骨を含まない上位頸椎固定術後に嚥下障害をきたした1例
加藤 知行
1
,
加藤 雅敬
,
宇田川 和彦
,
堀内 孝一
,
藤田 貴也
,
高橋 正明
1国立病院機構東京医療センター 整形外科
キーワード:
X線診断
,
嚥下障害
,
頸椎
,
術後合併症
,
脊椎固定術
,
頭蓋骨
,
環軸椎不安定性
Keyword:
Cervical Vertebrae
,
Deglutition Disorders
,
Radiography
,
Skull
,
Postoperative Complications
,
Spinal Fusion
pp.1248-1251
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2017060208
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77歳男。左上・下肢の筋力低下を主訴とした。頸椎単純X線側面像で環軸関節亜脱臼(AAS)を認め、頸椎ミエロCT所見と併せてAASによる左上・下肢不全麻痺と診断してC1-C2後方固定術を施行した。術中所見で左C1外側塊スクリューの挿入が困難であったためフックを使用し、透視下に頸椎が中間位の状態にあることを確認して手術を終了した。術後に飲水後のむせこみ、噴水様嘔吐が出現し、検査を行い挿管に伴う咽喉頭障害や新規の脳血管障害は否定された。頸椎単純CTで術前よりO~C2角が10°減少し、頸椎前彎が15°増加、頭蓋骨が後方移動しており、アライメントの変化を認めた。なお、嚥下造影像では咽頭期嚥下障害の所見を認めた。アライメント変化による咽喉頭部の物理的な狭窄ではないと判断し、嚥下訓練による経過観察を行った。その結果、嚥下障害は徐々に改善し、主訴症状も改善した。
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