経験と考察
仙骨脆弱性骨折において単純X線像の次にとるべき画像は何か
井上 三四郎
1
,
吉田 裕俊
,
富永 冬樹
1国立病院機構福岡東医療センター 整形外科
キーワード:
X線診断
,
肝炎-ウイルス性-ヒト
,
血管炎
,
骨折-自然
,
MRI
,
腎不全-慢性
,
脊椎骨折
,
仙椎
,
大腸腫瘍
,
X線CT
,
糖尿病
,
放射性核種イメージング
,
後向き研究
Keyword:
Diabetes Mellitus
,
Fractures, Spontaneous
,
Hepatitis, Viral, Human
,
Kidney Failure, Chronic
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiography
,
Retrospective Studies
,
Radionuclide Imaging
,
Sacrum
,
Vasculitis
,
Colorectal Neoplasms
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Spinal Fractures
pp.309-312
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2016279870
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
過去2年間に著者らの施設で治療した仙骨脆弱性骨折症例6例(男性1例、女性5例、年齢60~90歳、平均年齢78.5歳)中、4例には脆弱性を来し得る既往歴があった。その4例の具体的疾患名は血管炎症候群(副腎皮質ステロイド投与中)、大腸癌に対する放射線治療、糖尿病、慢性腎不全(血液透析中)および慢性ウイルス性肝炎であった。発症から著者らの施設に紹介されるまでの期間は平均3.1(0~11)週であり、全例が入院となり保存的治療が行われていた。そして、入院時のアルカリホスファターゼ値は平均392.6(249~558)U/Lで、6例中、4例が上昇しており、1例は他院でMRI撮像後に確定診断され紹介となっていた。今回、以上の症例について各画像診断(単純X線像、CT、MRI、骨シンチグラフィー)により骨折率を検討したところ、1)単純X線像と骨シンチグラフィーは各1例で撮影されておらず、CTとMRIは全例で撮影されていた。2)CTで診断できなかった3例の症状出現から著者らの施設受診までの期間は0週が2例、2週が1例であり、いずれも発症早期例であった。3)MRIでは後方視的にみれば全例で骨折が確認されていたが、2例では読影で見逃されていた。4)単純X線像は5例中0例、CTは6例中3例、MRIは6例中4例、骨シンチグラフィーは5例全例で骨折の診断が可能であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2016