経験と考察
末期変形性股関節症の単純X線像に基づく原因疾患の特定 発育性形成不全と他疾患との比較
為貝 秀明
1
,
大谷 卓也
,
川口 泰彦
,
藤井 英紀
,
羽山 哲生
,
丸毛 啓史
1ためがい整形外科クリニック
キーワード:
X線診断
,
寛骨臼
,
股関節脱臼-先天性
,
骨盤
,
変形性股関節症
,
ROC曲線
Keyword:
Acetabulum
,
Hip Dislocation, Congenital
,
Pelvis
,
Radiography
,
ROC Curve
,
Osteoarthritis, Hip
pp.313-318
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2016279871
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末期変形性股関節症(OA)の単純X線像から、そのOAが発育性形成不全(DDH)由来か、他疾患由来であるかを特定する指標を見い出す目的で、骨頭の上外側への亜脱臼傾向の評価を指標に検討した。対象は人工股関節全置換術の施行例で、術前の単純X線正面像で末期OAを呈しDDH由来が明らかなCrowe分類type 3、type 4の症例、および骨切り術後の症例を除いた259股とした。これらを小児期にDDH治療歴がありDDH由来が明らかなgroup 1(59股)、治療歴はなくDDH由来と診断したgroup 2(113股)、DDH以外の因子によるOAと診断したgroup 3(44股)、他疾患由来が明らかなgroup 4(43股)の4群に分類した。次いで骨頭の上方脱臼度、外側脱臼として原臼蓋の脱臼底面と本来の骨頭内側縁距離(LD)、臼蓋直上の骨盤外側壁(LW)を基準線とし、骨頭、臼蓋の骨棘部も含む骨頭の被覆度(OA-AHI)とした。更に骨頭の亜脱臼傾向の指標としてLWから10mm内側に平行線を引き、これらと上顎関節面が交差する2点間の傾斜角を臼蓋荷重部傾斜角(OA-ARO)として、この4項目を単純X線像上で評価した。その結果、骨頭の上方または外側への脱臼傾向はDDH由来のOAを特定する指標になり得ると考えられた。
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