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症例は30歳女性で、誘因なく左足関節の疼痛・腫脹が出現した。非ステロイド性抗炎症薬で治療されたが左足関節痛悪化と右足関節痛が出現した。他関節に圧痛・腫脹は存在せず膠原病関連疾患を疑わせる皮膚症状、眼症状はなかった。リウマトイド因子陰性、抗核抗体陰性、CRP 0.9mg/dl、ESR 16mm/時、MMP-3は96.5ng/mlを示し、血清反応陰性で軽度の炎症反応上昇を認めた。単純X線像で両足関節に軽度の関節裂隙狭小化、骨透亮像を認めた。また両手、両足趾に骨糜爛や関節裂隙狭小化はなかった。分類不能関節炎(UA)と診断し、両足関節に破壊性変化を認めたため、関節リウマチの薬物治療に準じサラゾスルファピリジンを始め、メトトレキサート(MTX)を追加した。しかし症状改善に乏しく、生物学的製剤導入について検討したが患者の都合で転院し、プレドニゾロンで治療が行われた。両足関節に強い圧痛・腫脹を認め左足関は内反変形を呈し、他関節に症状は認めなかった。単純X線像で両足関節に関節裂隙狭小化、骨透亮像が進行し関節面の不整、関節適合性の不良を認めた。また、距骨下関節にも破壊性変化がみられた。MRIでは足関節、距骨下関節および腱鞘の滑膜炎が高度で、骨炎を疑わせる骨内にT1強調画像で高信号領域が広範囲にみられた。MTXを再開し、トリアムシノロン関節注射も試みたが症状改善に乏しかった。エタネルセプト(ETN)50mg/週を開始し両足関節の腫脹はやや軽減し、MRIでも滑膜炎の軽減がみられた。血液検査で炎症反応の改善がみられたが関節破壊は進行し、疼痛、足関節内反変形により歩行困難となり左足関節固定術、右人工足関節置換術を行った。術後経過は順調で関節炎再燃、他関節に症状の出現はみられない。
©Nankodo Co., Ltd., 2015