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はじめに
小児の大腿骨骨切り術では,従来,プレートと 骨を密着させて固定する圧迫固定法が主であっ た。しかし,圧迫固定法では,骨形状に合わせて プレートを曲げる必要があり,プレートの曲げ角 やスクリューの挿入方向により矯正角度が決ま り,特にスクリューを締めてプレートに骨片を寄 せる際に矯正ロスが生じるため,複雑な骨切りで は正確な矯正が困難である。さらに,①近位骨片 と遠位骨片を密着させるために骨短縮が必要であ ること,②骨萎縮の強い症例では固定力が不十分 で,スクリューの緩みや骨片の転位を生じること があること,③ギプス固定が必要であることなど が問題点となる。 Locking compression plate(LCP)は,プレート とロッキングスクリューが一体化した構造である ため,近位・遠位骨片に挿入するスクリューの方 向で矯正角度を正確に決定できる。固定性が強く, 骨萎縮の強い脳性麻痺や二分脊椎症などの麻痺性 疾患でもスクリューの緩みが少ない。プレートを 骨形状に合わせて曲げる必要がなく,下肢アライ メントに応じて意図的に骨片をプレートから離し てトランスレーションを行うことができる。骨短 縮の必要がなく,一期的骨延長にも対応できる。 さらに,従来の圧迫固定法によるスクリューと ロッキングスクリューを同一のプレートで使い分 けることもできる。骨萎縮の強い症例を除き,骨 切り術後のギプス固定が不要である。2010年に日 本に導入されたLCP Pediatric Hip Plate(DePuy Synthes社)により,大腿骨骨切り術は,格段に進 歩し,内反・外反,屈曲・伸展,前方回転・後方 回転,減捻・増捻(外旋・内旋),短縮・延長,内 方化(medialization)・外方化(lateralization)を自 在に組み合わせて治療できるようになった。
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