臨床室
二期的手術を施行し治療しえた脊椎カリエスの1例
松井 満政
1
,
重松 英樹
,
岩田 栄一朗
,
倉 知彦
,
奥田 哲教
,
森本 安彦
,
田中 康仁
1奈良県立医科大学 整形外科
キーワード:
X線診断
,
気管支鏡法
,
抗結核剤
,
骨移植
,
MRI
,
鑑別診断
,
結核-脊椎
,
脊椎固定術
,
仙椎
,
掻爬術
,
多剤併用療法
,
X線CT
,
腸骨
,
腰椎
Keyword:
Antitubercular Agents
,
Bronchoscopy
,
Diagnosis, Differential
,
Curettage
,
Drug Therapy, Combination
,
Ilium
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Lumbar Vertebrae
,
Radiography
,
Spinal Fusion
,
Sacrum
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Tuberculosis, Spinal
,
Bone Transplantation
pp.1354-1357
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2016086566
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症例は63歳男性で、誘因なく腰痛が発生し、経過観察していたが改善なく、受診した。腰椎MRIでL5-S1の化膿性脊椎炎が疑われた。硬膜外膿瘍を認めたため、全身麻酔下に硬膜外膿瘍の掻爬と膿瘍の培養検査が施行された。気管支鏡で採取した喀痰から結核菌を認め、肺結核とそれに続発する結核性脊椎炎と診断した。肺結核に対する集学的治療のため転院となった。4剤併用療法での化学療法で肺結核の改善を認めたが、腰椎部の感染巣が拡大し、腸腰筋膿瘍から背部皮下膿瘍を形成したため、外科的治療が必要となり転院した。白血球数3800/μl、CRP 0.50μg/dl、赤沈13mm/時で、白血球数の上昇は認めず、CRP、赤沈は軽度亢進していた。単純X線像ではL5椎体下縁とS1椎体上縁の骨溶解を認めた。造影CTではL5/S1椎間板を中心位、左右腸腰筋にリング状に増強される腫瘍を認めた。また、L5-S1椎体の溶骨・骨破壊像を認めた。単純MRIではT1強調画像でL5/S1椎間板を中心に左右の腸腰筋に低信号域を認めた。L4~S3椎体および皮下にかけ、T1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号を認めた。二期的手術を計画し、右腸腰筋膿瘍の掻爬とL4腸骨の後方固定術を行った。1ヵ月後に開腹でL5/S1椎間板のデブリードマンと腸骨移植を施行した。画像所見で膿瘍は縮小し、血液生化学検査で炎症反応の増悪もなく、リハビリ目的に転院となった。術中に採取した検体の培養検査で結核菌は陰性であった。さらに6ヵ月間の抗結核薬の継続予定である。
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