発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015335330
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2013年7月~2014年8月の間にデノスマブを使用した骨粗鬆症患者88例を対象に、安全性をはじめ血清カルシウムや骨代謝マーカーの変動、また一部ではあるが橈骨骨密度(BMD)について検討した。方法として対象88例中87例は他剤からの変更で1例のみ最初からデノスマブを使用し、かつ男性は除外して、更に原発性骨粗鬆症の診断基準を満たした83例について分析した。その結果、1)変更前の内服薬は選択的エストロゲン受容体モジュレーターやビスホスホネートが多かった。変更した理由は主に薬剤使用してもBMDの低下、吸収性マーカーの高値推移などが認められたことであった。2)初回デノスマブ静注前後では血清カルシウム濃度に有意差はみられず、49例の2回目静注後も有意なカルシウム値の低下は認められなかった。3)骨吸収マーカーの骨型酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRACP-5b)は初回デノスマブ静注の半年後に有意に低下した。また、2回目の注射前には全例で低下し、強い骨吸収抑制作用を有していた。4)橈骨BMDの変化では初回デノスマブ静注開始前を100とすると6ヵ月後には101.7±3.6とわずかに増加傾向にあった。若年成人平均値では増加が22例、低下が10例、不変8例であった。5)調査中、デノスマブによる重篤な副作用はなかったが、2例で精神疾患がみられ中止となった。以上より、TRACP-5bは1回のデノスマブ静注で著明に低下し、強力な骨吸収抑制作用が期待されると考えられた。
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