発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015335329
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2008年10月~2014年9月の間に腰痛を主訴に受診した18歳以下の症例のうち、MRIを施行した553症例を対象に、腰椎疲労骨折および分離症の臨床的特徴について検討した。対象を12歳以下と13歳以上の2群に分け比較した結果、1)12歳以下では骨折疲労ありが19例(24.7%)、分離症ありが8例(10.5%)で、分離なしは50例であった。一方、13歳以上では骨折疲労ありが136例(28.6%)、分離症ありが310例(6.3%)で、分離なしは310例であった。2)12歳以下の疲労骨折、分離症例における椎体の骨成熟度を環状骨端の骨化状態を基準に末端骨のC-stage、骨端が出現したA-stage、骨端が癒合したE-stageで分類すると、C-stageは61.5%、A-stageは34.6%で、計96.1%が骨成熟途上の成長軟骨層を有していた。3)発生高位では12歳以下の疲労骨折・分離症ではそれぞれL5が16例・7例、L4が3例・1例であった。一方、13歳以上ではL6(移行椎)が1例・2例、L5が88例・23例、L4が36・3例で、次いでL3が10例・1例、L2が1例・2例と両群ともL5が最多であった。4)性別では12歳以下では差はほとんどなかったが、13歳以上では男子が82.5%を占めていた。5)競技種目ではサッカーが最多で、サッカーによる腰痛患者の50%以上が疲労骨折・分離症であった。尚、12歳以下で発症する腰椎疲労骨折ではスポーツによる疲労性障害のほか、先天的要素が発生に関与している可能性が示唆された。
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