経験と考察
進行性軟部肉腫に対するパゾパニブ塩酸塩の治療効果と有害事象
鈴木 賀代
1
,
安田 剛敏
,
渡邉 健太
,
堀 岳史
,
金森 昌彦
,
木村 友厚
1富山大学 整形外科
キーワード:
気胸
,
下痢
,
高血圧
,
脂肪肉腫
,
経口投与
,
軟部組織腫瘍
,
肺腫瘍
,
薬物用量反応関係
,
重症度指標
,
小細胞肉腫
,
治療成績
,
胞状軟部肉腫
,
肺炎-間質性
,
Pazopanib
,
胸部CT
,
線維粘液肉腫
Keyword:
Administration, Oral
,
Diarrhea
,
Dose-Response Relationship, Drug
,
Hypertension
,
Liposarcoma
,
Lung Neoplasms
,
Pneumothorax
,
Severity of Illness Index
,
Soft Tissue Neoplasms
,
Treatment Outcome
,
Lung Diseases, Interstitial
,
Sarcoma, Small Cell
,
Sarcoma, Alveolar Soft Part
,
Pazopanib
pp.418-422
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2015265137
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悪性軟部腫瘍に対する分子標的薬であるパゾパニブ塩酸塩を2013年1~12月の間に進行性軟部肉腫6例(男性3例、女性3例、年齢41~82歳、平均年齢66.7歳)対して投与し、それぞれ治療効果と有害事象について検討した。対象の病理組織型は粘液線維肉腫が3例、胞巣状軟部肉腫・脱分化型脂肪肉腫・未分化多形肉腫が各1例であった。また、パゾパニブ塩酸塩投与開始時の治療標的病変は原発部位および遠隔転移部位が4例、遠隔転移部位のみが2例であった。尚、パゾパニブ塩酸塩の投与は1週間の入院として800mg/日から開始し、投与期間は2~68週(平均24.8週)であった。その結果、1)6例中、肺転移を認める胞巣状軟部肉腫の1例において肺転移巣の画像効果判定が不変であり、腎機能障害、高血圧と下痢の有害事象が認められた。だが、投与量は200mg/日で継続加療中である。一方、残る5例中2例は転移病変の進行で、3例は有害事象のため投与中止とした、2)最終観察時の転帰は有病生存が2例、腫瘍死が3例、重篤な有害事象での死亡が1例であった。以上より、パゾパニブ塩酸塩の投与においては既存の肺障害を有する症例では間質性肺炎の発症に、多発肺転移や胸膜転移を認める症例では気胸の発症に留意し、早期発見および治療に努める必要があると考えられた。
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