経験と考察
仙腸関節障害と腰椎疾患の坐位時疼痛領域の比較
川上 純
1
,
黒澤 大輔
,
村上 栄一
1仙台社会保険病院 腰痛・仙腸関節センター
キーワード:
下肢
,
神経ブロック
,
脊柱管狭窄
,
脊椎疾患
,
仙腸関節
,
椎間板ヘルニア
,
疼痛
,
腰椎
,
座位
,
仙腸関節症
Keyword:
Intervertebral Disc Displacement
,
Lumbar Vertebrae
,
Nerve Block
,
Pain
,
Spinal Diseases
,
Spinal Stenosis
,
Sacroiliac Joint
,
Lower Extremity
pp.513-517
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2014325131
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仙腸関節障害(SIJ)26例、腰椎椎間板ヘルニア(LDH)37例、腰部脊柱管狭窄症(LSCS)49例の計112例を対象に、坐位時に誘発される腰下肢痛の頻度および疼痛領域の違いについて検討した。方法は背もたれのない椅子に座った状態で腰臀部・下肢痛の誘発の有無を確認し、誘発された疼痛領域を患者自身に示指1本でなぞってもらい、これを診療録に記載した。その結果、1)坐位時疼痛の出現頻度はSIJ群で26例中19例、LDH群で37例中18例、LSCS群で49例中10例であった。2)坐位時に誘発された疼痛領域はSIJ 19例(左12、右7)は上後腸骨棘周囲(PSIS)が12例、坐骨結節部が6例、鼡径部が3例、大腿後面が1例、下肢外側が1例であった。また、LDH 18例では大腿以下の障害神経根領域を示したのが10例、臀部中央が4例、大腿後面が3例、臀部と大腿後面を同時に示したのが1例あった。一方、LSCS 10例ではPSISが2例、L5神経根領域が3例、大腿後面が3例、尾骨部が1例ほか、臀部中央が1例、臀部上方と下肢外側が1例であった。以上、これらのことからも、誘発される疼痛部位に注目することは仙腸関節障害や腰椎疾患の鑑別に有利と考えられた。
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