発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2013162426
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過去10年間に当科で経験した腰椎手術後に発生した神経障害性疼痛の臨床的特徴について検討した。その結果、腰椎手術1007例中8例(0.8%)に神経障害性疼痛が発生した。全例、椎間孔部狭窄例であった。術式別では、脊椎内視鏡手術が7例と多く、従来法による外側開窓術は1例のみであった。発症日は術後平均3日で、術直後は少なく、術後数日内に発症する傾向にあった。痛みの性質・特徴としては、基本的に腰神経支配領域の末梢優位の痛みであるが、異常感覚は下肢全体と表現するように、ダーマトームを越えて広がる例が5例(62.5%)みられた。発作性・自発性の痛みが夜間に増強することも特徴で、不眠を呈する程ひどい症例も存在した。自覚症状として共通することは、自制困難な不快感を患者自身が強く訴えることであった。他覚所見としてはアロディニアを全例に認めた。また、重症例では交感神経障害の存在を示唆する患肢の浮腫や皮膚の色調変化を8例中2例(25%)で認めた。薬物療法としては、神経障害性疼痛薬物療法ガイドラインの推奨薬はあまり効果がなく、ステロイドが症状軽減に最も有効であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2013