発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2013081448
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単純性股関節炎(TS)は自然軽快する予後良好な疾患であるが、化膿性股関節炎(SA)との鑑別が困難な症例や再発例・遷延例またはPerthes病(PD)との関連が推測される症例報告もある。今回、TS50例(男児31例、女児19例)53股を対象に、臨床像、SAとの鑑別、歩行能力別の病態について検討した。その結果、1)発症年齢は2~13歳(平均6.7歳)で、先行病歴は感染性疾患が40%と最も多く、次いで転倒や激しい運動14%、アレルギー疾患9.0%の順であった。2)発症~初診の日数は平均3.1日(0~30日)、発症~症状消失の日数は7.4日(1~35日)であり、再発を1例に同側で認めた。また月別発症数は2月、3月、10月、11月に多かった。3)全例で初診から3ヵ月後まで経過観察したところ、49例52股は症状が自然軽快して関節内水腫は消失したが、1例1股では初診3ヵ月後に骨頭壊死を認め、PDに進展したと考えられた。4)TS群とSA群では体温:38.3℃、CRP:1.23mg/dl、赤沈:45.5mm/時を境界に鑑別が可能と考えられた。尚、TS群の歩行可能例では体温・CRP・赤沈・WBCは相互に正の相関を、年齢とWBCでは負の相関を認め、歩行不能例では相互の相関は認められなかった。
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