発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012360391
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
62歳女。14歳時に若年性特発性関節炎と診断された。10年前に両下肢の痺れが出現し、徐々に歩行障害をきたした。1年半前に他院で胸髄症と診断され、Th10-Th11椎弓切除術を受け、車椅子への移乗が可能となった。今回、四肢の痺れと両下肢脱力が出現し、当科に紹介された。車椅子への移乗ができなくなっており、両側足底筋膜やアキレス腱部の疼痛を訴え、付着部炎の症状があった。神経学的検査でC5横断脊髄障害とTh10横断性脊髄障害が混在した所見を認めた。血液生化学検査では、CRPが軽度高値、MMP-3が高値、RFと抗CCP抗体は正常、HLA-B27は陰性であった。単純X線像では、広範にわたる椎間板の石灰化と脊椎強直があり、仙腸関節には関節裂隙の狭小化と骨糜爛を認めた。全脊椎MRIでは、強直していないC4/C5、Th1/Th2、Th10/Th11高位で脊柱管狭窄を認めた。手術を行い、術中所見から責任病巣はC4/C5、Th10/Th11高位であると考えた。手術は頸椎に対してC4-C5椎弓切除とC3~Th3後方固定、胸椎に対してTh8~Th12後方固定を行った。術後は症状が改善し、3ヵ月で車椅子への移乗が可能となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2012