発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012339638
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急性腰痛の75例(男26例、女49例、平均年齢77.4歳)を対象としてMRI撮像し検討した。その結果、48例が椎体骨折、21例が変性所見、3例が癌の脊椎転移、2例が化膿性脊椎炎、1例が偽関節の診断であった。椎体骨折の頻度は年齢とともに増加する傾向にあり、85歳以上では83.3%が椎体骨折で、70歳未満でも37.5%に椎体骨折を認めた。また、単純X線像による骨萎縮度が強くなるほど、椎体骨折の頻度も高くなる傾向であった。骨密度測定が可能であった61例については、骨密度が低くなるほど椎体骨折の頻度が高くなる傾向を認めたが、YAM値80%以上の症例でも54.5%に椎体骨折を認めた。発症1日以内に受診した症例は高率で椎体骨折を認め、発症から日数が経過した症例では椎体骨折の頻度が減少した。明らかな外傷により発症した症例は80%以上が椎体骨折であったが、誘因のない症例も40%が椎体骨折であった。棘突起叩打痛を認めた症例のうち71.4%が椎体骨折で、棘突起叩打痛のない症例でも54.5%が椎体骨折であった。棘突起叩打痛の椎体骨折診断に対する感度は64%、特異度は54%であった。受診時、救急搬送された症例のうち79.3%は椎体骨折であった。一方、救急車を利用しなかった症例でも54.3%は椎体骨折であった。
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