発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012220019
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症例は65歳男性で、スギ伐採中に切ったスギの木と岩の間に右下腿を挟まれ、下腿部~足部の痛みを生じた。下腿~足関節の腫脹が著明であったが、X線では腓骨の遠位1/3で転位軽度の骨折を認めたのみで、足関節の靱帯損傷も認めなかった。またCPKは高値であったが、足趾の運動障害や足底部の知覚異常もなかった。大腿~足部のギプス固定を行ったが、受傷後1ヵ月のギプス除去時に母趾趾節間関節の屈曲変形を認め、3ヵ月後のMRIでは腓骨骨折部より遠位で長母趾屈筋の筋腹がプロトン密度強調画像で高信号を呈し、線維化が示唆された。その後も屈曲変形は改善せず、受傷後約9ヵ月ごろには母趾に加え、第2趾にも屈曲変形が出現した。立位時の疼痛は激しく、歩行困難となっため手術を行った。長母趾屈筋腱の切離で鉤爪趾変形は矯正され、約2.5cmのZ延長術を行った。術後1ヵ月で歩行時痛は消失し、3ヵ月で林業に復帰した。1年後の時点で鉤爪趾は認めず、症状もない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012