発行日 2009年6月1日
Published Date 2009/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009241359
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30歳女。車のトランク扉で左手を挟み受傷し、受傷直後は手関節橈背側が突出していたが、患者自身が押し込み整復されたとのことであった。X線で大小菱形骨と第2中手骨の橈背側転位を認め、大小菱形骨周囲型の手根骨橈側長軸脱臼と診断した。CTでは大菱形骨稜の剥離骨折および有鉤骨鉤骨折を認めた。徒手整復不可能であったため、小切開エレバトリウム+経皮的ピンニングを施行したが、術後CTで舟状骨大菱形小菱形骨間(STT)関節の整復が不十分と判断し、1週間後に観血的整復固定術を施行した。掌側アプローチで大菱形骨稜をスクリュー固定し、横軸アーチを再建した。次に背側アプローチでSTT関節を展開したところ、小菱形骨と有頭骨との間に靱帯様の軟部組織が陥入しており、舟状骨は掌側に亜脱臼していた。靱帯様組織を切除して整復した後、STT関節をKirschner鋼線で固定した。術後3ヵ月で手根骨と手指のアライメントは良好で、不安定はなく、骨折の骨癒合も完成していた。
©Nankodo Co., Ltd., 2009