発行日 2011年9月1日
Published Date 2011/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2012061430
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例1:74歳男。心房細動に対しワルファリン内服中であった。1週間前に右胸を打撲し、受診前日より右前胸部の腫脹が出現した。腫脹は著明で、数時間で更に増大し、造影CTで大胸筋血腫と診断した。プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)は2.81であった。局所の安静、ワルファリンの中止、ビタミンK・新鮮血・新鮮凍結血漿の投与を行った。症例2:76歳男。虚血性心疾患に対し冠動脈バイパス術、閉塞性大動脈硬化症に対し腋窩-大腿動脈バイパス術の既往があり、ワルファリン内服中であった。左腕を捻った後に左前胸部が著明腫脹し、病歴よりバイパス術の吻合部トラブルが疑われた。PT-INRは2.87であった。造影CTで吻合部に異常はなく、大胸筋血腫と診断してワルファリンは中止せず、安静加療のみを行った。2例とも血腫は自然吸収され、その後再発や機能障害は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2011