発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2011288566
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84歳男。約10年前より両膝関節腫脹が出現し、月に2~3回、毎回50~100ml以上の水腫の排液を受けており、5年前より疼痛を伴うようになった。X線で両側にKellgren & Lawrence分類grade 4の内側型の変形性膝関節症を認めた。MRIでは両側に関節内液体貯留と膝蓋上嚢を中心に滑膜の絨毛様増殖を認め、滑膜増殖はT1強調画像で高信号、脂肪抑制画像で低信号を示し、脂肪組織と一致する所見であった。両側変形性膝関節症に対し右TKA、5ヵ月後に左TKAを施行し、膝蓋上嚢を中心に関節内に大小様々な乳頭状に増殖した脂肪様の滑膜組織が充満していたため切除した。病理診断は樹枝状脂肪腫であった。免疫組織学的手法により、採取した滑膜中の疼痛関連ペプチドCGRP陽性神経線維の分布密度を半定量的に調べたところ、通常の変形性膝関節症の半分であった。術後約1年の現在、疼痛や水腫は改善している。
©Nankodo Co., Ltd., 2011