発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012264962
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
23歳女。急性骨髄性白血病(AML)M2に対し、2度目の寛解導入療法で完全寛解(CR)を得たが、肺真菌症を長期間合併したため、HLA遺伝子型完全一致の非血縁者をドナーとし、RISTを施行した。タクロリムスで移植片対宿主病(GVHD)予防を行うが、タクロリムス脳症を併発した。シクロスポリンA(CsA)投与を開始し、経過中はGrade IIのGVHDを認めるのみであった。移植後は約半年間の抗真菌薬投与で、肺真菌症は治癒し、CRを得てCsAを中止した。半年後に左頸部腫脹で再入院となった。MRIでは、約50mm大の左頸部皮下腫瘍で、生検では繊細なクロマチンを示し、類円形の核を有する骨髄芽球の集簇を認め、myeloperoxidase染色は陽性を呈し、骨髄性肉腫(MS)と診断した。骨髄穿刺で芽球は認めずCRを維持したが、キメリズム解析でレシピエント由来細胞が6.2%が検出された。局所放射線照射とcytarabin(AraC)内服を2コース施行した。その2ヵ月後に、頸部腫瘍はCRとなりキメリズム解析で、骨髄は完全ドナー型となった。その後、ドナーリンパ球輸注(DLI)後、全身性紅皮症・水疱・びらん、粘血便・下痢と腹痛の出現し、急性GVHD・gradeIVと診断された。mPSLパルス療法を施行したが改善せず、CsAの持続静注を要した。MRSA肺炎と敗血症合併は治癒し、AMLはCRを維持した。CsAを減量して退院したが、DLI施行後14ヵ月にAMLが再発し2ヵ月後に死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012