発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010080244
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8歳男。草むらでマムシに手指を咬まれ、受傷後30分に緊急搬送された。右中指中節部尺側に牙痕を認め、疼痛・腫脹は手部から前腕に及んでいた。咬傷部を洗浄し大量輸液、乾燥マムシウマ抗毒素血清6000IU、セファランチン10mg、破傷風トキソイド、セフトリアキソンを投与した。受傷後48時間で腫脹は上腕まで進行し、咬傷部周囲皮膚が壊死に陥ったが境界は不明瞭であった。腎機能障害などの併発はなく、受傷後1週間には前腕の腫脹・疼痛は軽快したが、中指のびまん性腫脹は持続した。受傷3週目に壊死組織が脱落し、デブリドマンを行ったところ10×20mmの皮膚欠損が生じ、深指屈筋腱、尺側の側索が露出したが、保存的治療により上皮化した。受傷4週目のX線では、中節骨の骨端線での転位を認めた。受傷後1年経過の現在、屈筋腱癒着と骨端線部で中節骨が圧潰・背屈することにより遠位指節間関節が屈曲する白鳥のくび様変形を呈しているが、関節可動域制限や疼痛はなく、経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2010