発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010044180
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51歳女性。患者は腰痛、両下肢の痛みと痺れを主訴に著者らの施設へ精査入院となった。所見では腫瘍マーカーでCA-125の上昇が認められ、胸腰椎MRIでは椎間板に異常所見はみられなかったものの、非連続性椎体病変が認められた。また、胸部造影CTでは両側肺内に多発する結節がみられた。以上より、本症例は悪性腫瘍の多発転移を考え、原発巣検索が行なわれたが原発巣は発見できなかった。しかし、第8病日目より発熱が生じ、血液培養にてGram陽性球菌が検出、菌血症に伴う化膿性脊椎炎、後縦隔膿瘍、菌血症性肺塞栓症(SPE)が疑われ、椎体生検を行った後にセファゾリン投与を開始した。その結果、椎体生検では腫瘍細胞は存在せず、後日、起因菌はペニシリン感受性黄色ブドウ球菌であることが判明したため、抗菌薬をベンジルペニシリンに変更された。以後、CRP値、発熱、腰痛は改善し、両肺野の結節影も消失、第140病日目に患者は独歩退院となった。
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