発行日 2009年11月1日
Published Date 2009/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010036366
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91歳女。右末期変形性股関節症にて右人工股関節全置換術(THA)を行い、術後5年目と6年目に特に誘因なく右人工股関節の前方脱臼が生じ、2回目の脱臼後に再置換術を行った。その後2年半間題なく経過したが、転倒した際に後方脱臼が生じ徒手整復を行い、術後11日目にポータブルトイレへの移乗時に再度後方脱臼が生じた。全身麻酔下に徒手整復術を試みたところ、ヘッドは容易にカップに収まるが、単純X線像で非同心円性の不完全な整復位を示した。整復位は不完全であったが、麻痺やしびれ感もなく疼痛は消失し、軟部組織の介在を疑い、2日後に観血的整復術を行った。後方の偽関節包は保たれており、偽関節包を切開すると血性の関節液が流出し、ヘッドとポリエチレンライナー間に軟部組織が介在して整復を阻害していた。介在物は前方軟部組織と連続したフラップ状に切れた組織で、ほぼ一塊に切除摘出し、ライナーをフラットからエレベートに交換して後方脱臼に対処した。術後はADLを中心にリハビリテーションを行い、術後3週目に退院し、退院3週後にベッドからずれ落ちて後方脱臼となったが、徒手整復は容易に可能であった。それ以降脱臼はない。
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