発行日 2008年10月1日
Published Date 2008/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009003483
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53歳女性。患者は出生時にChiari奇形および二分脊椎があり、33歳時に尿路変更術(回腸導管)、40歳時に左大腿骨骨折固定術を受けた既往があった。今回、体幹と下肢の高度障害でベッド上の生活となり、右臀部に生じた褥瘡が次第に悪化し、発熱と意識障害の出現したため、著者らの施設へ紹介入院となった。意識レベルはJCS I-3で、右臀部から大腿骨転子部に及ぶ巨大な化膿性褥瘡、右大腿骨転子下開放骨折に伴う急性化膿性骨髄炎が認められ、敗血症性ショック状態であった。治療として肛門部と骨折部が同一褥瘡内にあり、化膿創を大便汚染から隔離するためS状結腸除去・人工肛門造設術が行なわれた。その結果、術後創部洗浄が容易となり、敗血症性ショックを離脱し全身状態も改善し始めた。尚、骨髄炎の波及範囲評価後に股関節離断術を行い、臀部・仙骨部褥瘡切除、臼蓋・坐骨・仙骨部腐骨の掻爬が行なわれたが、術後7日(67病日目)に患者は食事摂取を開始し、車椅子で買い物も可能となり、184病日目に自宅退院となった。
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