発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008236075
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59歳女。5年前に両手指の腫脹・疼痛で関節リウマチ(RA)を発症し、薬物治療を受けていた。左手関節背側の疼痛が出現し、RAによる腱鞘滑膜腫脹を疑った。第1コンパートメント周囲と第4コンパートメント遠位に腫脹を認めたが、手指の自動運動は正常であった。手関節X線で関節裂隙は比較的保たれ、骨破壊像もなかった。手術を施行し、第4コンパートメントを開放すると、総指伸筋腱に腱鞘滑膜の腫脹と腱内進入がみられ、腱鞘滑膜の切除を行った。第1コンパートメントの伸筋支帯の近位部には腱鞘滑膜の著しい増殖を認め、開放すると内部は腱鞘滑膜で充満していた。腱鞘滑膜切除を行ったところ、長母指外転筋腱は2本存在し、そのうち太い腱が断裂していた。断裂した長母指外転筋腱は端端縫合し、開放した第1・第4コンパートメントの伸筋支帯は縫合して再建した。術後6ヵ月経過し、母指の自動運動は正常で手関節部の腫脹もない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008