発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008233809
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78歳女。変形性肘関節症で12年前に人工膝単顆置換術(UKA)を施行されていた。今回、左膝痛が出現し、初診時、膝窩部に鶏卵大の弾性の腫瘤を認め、膝関節可動域(ROM)は伸展-5°、屈曲120°、JOAスコアは45点であった。単純X線では関節包に一致して雲状陰影を認め、膝窩部には5×7×8cmの巨大嚢腫を認めた。UKA後の巨大膝窩嚢腫を伴ったメタローシスと診断して膝窩嚢腫切除術を施行し、2週間後に人工膝関節再置換術(再TKA)を施行した。関節腔内には黒色に変色した滑膜様組織が存在しており、可及的に切除した。摘出したコンポーネントの大腿骨側は荷重部が摩耗し、下層のセメント及びペグが露出していた。また、セラミックス製の脛骨側と高分子ポリエチレンは後方部が著明に破損していた。全コンポーネントを抜去して再TKAを施行した。病理組織所見で、嚢胞壁に広範な黒色の金属摩耗粉の沈着と、摩耗粉を取り込んだ異物巨細胞を認めた。再TKA後1週より歩行訓練を開始し、再TKA後1ヵ月半でT字杖一本にて退院した。術後2年6ヵ月現在、疼痛は消失し、関節水腫を認めず、ROMは0~115°で、JOAスコアは85点へと改善した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008