発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008091691
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は67歳女性で、右手掌~中・環指の痛みとしびれ、夜間痛を主訴とした。近医にて保存的加療を受けていたが、軽快しなかった。MRIでは、第3,4中手骨基部間掌側に、T1強調画像で筋肉と等信号、T2強調画像で若干高信号の境界明瞭な充実性の腫瘍を浅掌動脈直上に認め、ガドリニウムにより強く造影された。手術では、尺骨神経直上に存在する腫瘍と浅掌動脈より分枝する血管の進入を認め、進入血管を結紮して腫瘍を切除した。腫瘍周囲は線維性被膜で覆われ、内部には増生した筋線維束が束状に配列し、別の筋線維束との錯綜が認められた。中央部はガラス様変性を部分的に有し、血管腔を中心に、同心円上に増生した平滑筋線維も認めた。血管平滑筋腫と診断した。術後、疼痛は消失し、しびれや感覚の脱失、血行障害はみられなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008