発行日 2008年1月1日
Published Date 2008/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008091690
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症例は関節リウマチの60歳女性で、右肘人工関節置換術施行後、関節部の深部感染のため、上腕中間部の切断術を受けた。術後、軽度の幻肢痛、上腕切断端の感染が出現し、上腕断端の排出膿よりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が検出された。右上腕切断端より近位で、人工肩関節全置換術の上腕骨ステムを含めて上腕部の再切断術を行った。手術直後から術後3日目までは、幻肢痛はvisual analogue scale(VAS)で1点と改善していたが、術後4日目より増悪した(VAS:8点)。8日目にエルカトニン80単位を投与したところ、幻肢痛は著明に改善した(VAS:2点)。その後、幻肢痛は再び増悪した(VAS:11日目6点、14日目4点)が、エルカトニン80単位の投与で改善した(VAS:2点、1.5点)。切断術後7ヵ月現在、幻肢痛の増悪・再燃はみられない。難治性の幻肢痛に対し、エルカトニン投与は有用な選択肢の一つとなりうると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008