発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006197908
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61歳女.1年半前より右第3,4趾中足趾節(MTP)関節周囲に疼痛,腫脹が出現し,その後徐々に第3,4趾間の開大が生じた.単純X線で第3趾MTP関節に骨透亮像および骨びらんを認め,第3,4趾基節骨間が開大していた.MRIで右第3趾MTP関節周囲,および第3,4趾間にT1強調像で等信号,T2強調像で等信号,一部高信号の腫瘤性病変を認めた.炎症反応の亢進はなく,関節リウマチ(RA)の診断基準は満たさなかったため生検術を施行し,病理所見では腫瘍細胞は認めず,滑膜および滑液包の炎症であった.滑膜および滑液包切除術を施行し,病理組織学的にリンパ球の著明な浸潤を認め,一部でリンパ濾胞を形成しており,RAによる滑膜炎,滑液包炎の所見であった.術後疼痛,腫脹,開大は消退したが,6ヵ月後より朝のこわばり,手指・手関節の疼痛,腫脹が出現した.血液生化学所見はRF 84.0IU/ml,ESR 31mm/時,CRP 0.3mg/dlで,RAと診断した.抗リウマチ薬,非ステロイド性抗炎症薬の投与を開始し,術後16ヵ月で再発はなく,症状,検査所見も改善している
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