発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005067153
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上腕動脈穿刺による心臓カテーテル検査と経皮的冠状動脈形成術施行に伴う整形外科的合併症としてコンパートメント症候群をきたした2症例(症例1;68歳女性,症例2;67歳男性)と高位正中神経麻痺をきたした69歳男性症例(症例3)の臨床経過を呈示した.コンパートメント症候群をきたした症例の発症機序は症例1ではヘパリン投与時の不十分な圧迫止血により再検査に備えて血管内に残したシース周囲からのあるいは複数回穿刺した際の留置部以外の穿刺孔からの出血で生じたと考えられた.症例2ではウロキナーゼ大量投与により一度は止血されていた前回穿刺部の血栓が溶解して再出血をきたしたものと考えられた.症例3の高位正中神経麻痺の発症機序は急性肝炎治療中のため抗凝固薬を服用しておらず,血腫による圧迫によって正中神経麻痺をきたしたものと考えられた.自験例では患者の希望もあり手術適応ではあったが,全例で保存的治療により比較的良好な結果が得られた
©Nankodo Co., Ltd., 2004