発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008012097
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52歳女、右股関節痛を主訴とした。関節リウマチ(RA)にて内服加療中であった。初診時、右鼡径部に鶏卵大の腫瘤を触知し、腫瘤は表面平滑、弾性硬、可動性良好で、軽度の圧痛を認めた。日整会股関節機能判定基準(JOAスコア)は21点で、松葉杖二本での歩行であった。単純X線では右股関節の関節裂隙は消失し、骨頭の圧潰と臼蓋の破壊を認め、3ヵ月後には高度の破壊を認めた。CTでは右鼡径部に境界明瞭な被膜のある腫瘤を認め、初診3ヵ月後では股関節から腫瘤内に進展する高濃度域を認め、関節破壊に伴う破砕骨片と考えられた。術前のMRI T2強調画像では右股関節前面に腫瘤を認め、内部に液体貯留とdebrisを思わせる不均一像を認めた。手術を行ったところ、臼蓋内から腸恥滑液包内に多量の破砕骨片を含むdebrisが充満しており、これらを掻爬して臼蓋の骨欠損部にハイドロキシアパタイトを充填して人工股関節全置換術を行った。病理所見よりRAおよびそれに合併した腸恥滑液包炎と診断した。術後1年の現在、腸恥滑液包炎の再発はなく、JOAスコアは75点であった。
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