発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006036250
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44歳男.関節リウマチ(RA)にて加療中,右股関節の可動域制限,右臀部痛の増強がみられた.単純X線正面像で左寛骨臼縁に点状の石灰化,および右大腿骨大転子部上縁に淡い石灰化を認めた.軸写像で石灰化は大転子部後方により明瞭に認められた.MRIでは,腫瘤はT1強調画像で筋肉とほぼ同信号に描出され,T2強調画像では内部に高信号の部分が散在していた.造影CTでは約7cm大の腫瘤像が右大腿骨大転子部に接して認められた.摘出術を行い,摘出標本は約8cm大,割面は灰白色で光沢のある島状の,より白色調の強い軟骨様結節が集簇していた.病理組織学的に,石灰化と軟骨化生の辺縁部に異物巨細胞と慢性炎症細胞浸潤を認めた.漆黒色の無構造物を偏光顕微鏡でみると菱形の結晶が確認され,ピロリン酸カルシウム2水化物結晶沈着症と診断された.本症例はRAに対して非ステロイド性抗炎症薬やプレドニゾロンを投与されており,それによってある程度症状が改善され,正診に至らずに経過したと思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2005